第37回緑化工技術講習会 2/1(月)~2/2(火)開催

1月 25th, 2016
  • 第37回緑化工技術講習会について
  •   日時 :平成28年2月1日13:00~2日15:00特集1.外来生物・生物多様性保全、
    及び自然回復緑化における最近の動向
    特集2.火山災害地など特殊地の防災、緑化

    1日目① (13:00~14:30)

    「自然公園における法面緑化指針《について 10月27日に公表された「自然公園における法面緑化指針《について解説いただく。
    環境省自然公園局国立公園課生態系事業係長 吉田祥子
    1日目② (14:40~16:10)

    林野公共事業における生物多様性保全に配慮した緑化につい
    *手引き、ポイントブックなど*て
    林野公共事業における生物多様性保全に配慮した緑化の手引き、同ポイントブックなどについて解説いただく。
    林野庁森林整備部治山課課長補佐(施設実行斑担当) 川口大二
    1日目③(16:20~17:50)

    石灰石鉱山跡地の緑化・自然回復について急勾配硬質岩盤地である石灰石鉱山の残壁の緑化、自然回復について解説いただく。
    日本大学生物資源科学部森林資源学科 阿部時和
    2日目①(9:30~11:00)

    火山災害発生のメカニズムと綜合的防災豪雨により、全国で様々な形の土砂災害が発生しているため、法面・斜面の点検が求められている。その勘所について解説いただく。
    (公社)土木学会斜面工学小委員会 (株)環境地質 社長 稲垣秀輝
    2日目②(11:10~12:40)

    三宅島噴火災害地における椊生の自然回復と緑化平成12年に噴火した三宅島における椊生回復状況と、緑化対策について解説いただく。
    (研)森林総合研究所水土保全領域山地災害研究室 小川泰浩
    2日目③(13:30~15:00)

    生物多様性保全と今後の緑化椊物の取り扱いについて3月末に公表された「生態系被害防止外来種リスト《、10月に公表された「自然公園における法面緑化指針《などにより、混乱し続けて来た緑化椊物の使用に関する大まかな整理がついてきたことから、今後の緑化椊物の取扱について解説する。
    特定非営利活動法人日本緑化工協会理事長(技術委員長) 中野裕司
    注) 講師の都合で、講師・演題・時間の変更を行うこともあります。
    あらかじめ、ご了承下さい。


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“第37回緑化工技術講習会FB

 

 

外来種 問題 : 「侵略的外来種リスト(仮称)植物」に関する意見 2-3

11月 2nd, 2013

3.外来牧草に係わる問題

③の外来牧草に係わる問題として、利用にあたっては注意を要するものとされているが、その「注意」しなければならない内容・根拠は不明確である。なぜならば、外来牧草については、A.競合、B.交雑の問題は考えられないからである。

巷では、外来牧草の種子が河川氾濫原に定着し、氾濫原植生と競合し駆逐しているとされている。
しかし、このような評価の元となったウィーピングラブグラスが鬼怒川上流のカワラノギクなどの河川氾濫原に侵入・定着し、氾濫原在来植生と競合し、駆逐しているという論文については、4省庁による「平成18年度生態系保全のための植生管理方策検討調査」第2回委員会にて現地確認を行い、ウィーピングラブグラスが氾濫原植生と競合し駆逐したという実態は無かったことが判明している。

河川管理事務所職員と委員との質疑により次の事実が明らかにされている。

氾濫原植生が衰退した時期、すなわちウィーピングラブグラスが目立つようになった時期は、鬼怒川上流にて川砂利採取を止めた時期に一致している。
ウィーピングラブグラスは、河川護岸工の実施、上流にダムを建設した事による流量の減少と河床低下、および、川砂利採取の停止による河川の攪乱、氾濫原の消失、という、人為的な河川改変行為により、氾濫原植生が衰退した箇所に侵入したものだったのである。
さらに、河川管理事務所職員は、論文の現場は、一度カワラノギクが消滅した処であり、花が綺麗であったために河川管理事務所の周りに撒いていたものを持込、復元を図っているという話がなされた。
外来牧草による在来植生の駆逐という問題では無く、人為的に河川環境に手を加え、陸化した事によりウィーピングラブグラスが、新たに生じたニッチに侵入定着したという事が事実たったのである。

現在では、このような事実を踏まえ、河川環境は人為的な環境改変による不可逆的な変化が起きているとされるようになっている。すなわち、管理により人為的な攪乱を発生させなければ氾濫原植生の維持は不可能なほど、河川環境の改変は進んでしまったのである。

ウィーピンクラブグラスが河川氾濫原植生との競合し、駆逐しているという論文そのものが事実誤認であり、外来牧草は在来植生を脅かすという思いにより色づけされたもの、結論が先にありきの論文であったものと想像できる。

以上は、河川上流部の氾濫原植生に対するものであるが、河川中下流域の堤防ではライグラス類、トールフェスクなどの寒冷地型の外来牧草が繁茂するが、これは、当初実施した芝張りの刈り取り管理が不十分であるために、比較的肥沃で日当たりの良い環境を好む寒冷地型の外来牧草が侵入・定着したものであり、これもまた、人為的な環境改変の結果と言える。

河川堤防では、寒冷地型牧草に由来する花粉症が一時問題となったが、これも又維持管理の問題である。

低草高を維持できるように、集約的な草刈り管理を行うならば大型の寒冷地型牧草は消滅し、ノシバ群落、あるいはチガヤ群落を維持する事ができる。逆に、先に述べたウィーピングラブグラスの生育する河川の場合であっても、そのまま放置するならば植生は推移し、さらに大型のススキ群落、さらには低木叢林状の群落へと遷移して行くものである。

維持すべき目標群落を明確にし、管理を行ってこなかったため発生した問題と言える。
自然環境に対し人為的に手を加え環境改変を行った場合は、目的・用途に合致した維持管理を行う必要がある。

その管理を行わずして、あるいは粗な管理を行うことにより、外来牧草が侵入・定着したとしても、それは、侵略的に侵入したというよりも、侵略可能な環境を準備したからだと解釈することが科学的な態度と言える。しかし、なぜか、侵入した外来植物である外来牧草は侵略的であり、在来植生と競合・駆逐するものとして取り扱われている。

このような非科学的な態度では、問題の解決に向かえ事は困難となる。外来植物により発生した問題なのか、管理など人為的な問題なのか、キチッと弁別した上で問題の解決に向かうべきである。

ちなみに、林野庁の調査結果では河川最上流の沢筋では、日照条件が不良であるため、外来牧草は定着が困難であり、定着したとしても生活環を全うすることはできない、とされている。

外来牧草は、治山・法面緑化のみならず、採草地・牧場などの農業利用、スキー場、ゴルフ場などのレジャー施設、公園・緑地の芝生、競技場などのスポーツターフなど多様な利用形態がある。その施用箇所は、山地から都市に及ぶ広大な範囲に及んでおり、その使用を制限することは困難である。また、代替植物も存在しない。

特に、奇しくも愛知目標達成年と同じ年、2020年に開催される東京オリンピックに備え、スポーツ選手強化のために日本各地でスポーツグラント、芝地が造成されることとなるものと考えられる。

外来牧草(洋芝)は、日本芝には無い、踏圧などに対する強い耐性持つものであり、逆に言うならばこの点が侵略的と評価されることとなるのであるが、だからといって、その使用に制限を加えるならば、スポーツグランドの整備すらおぼつかなくなってしまう。

主立った外来牧草・芝草の使用制限を加えるならば、スポーツによる健全な青少年の育成、レジャーの場を奪うのみならず、東京オリンピックの開催すら危ぶまれる状態を招来しかねないものとなる。

侵略的外来種に関し、「特に問題となる被害」として、「b 経済・産業への被害」を挙げている。

これは、侵略的外来種がはびこることによる農作物などに対する被害についてであるが、これとは逆に、外来種を用いないことによる産業被害についても具体的に見積必要がある。

 単に概念的、理念的な取扱、あるいは、僅かな論文を根拠として示すのみでは無く、外来植物の使用を取りやめ代替植物を用いる場合に発生する費用、外来植物を使用する事による(農作物等に対する)被害額、維持管理に関する費用、駆逐する際に必要な費用、等について、具体的に試算し、対費用効果の点からの評価も行うべきであろう。

(文責:中野裕司)

外来種 問題 : 「侵略的外来種リスト(仮称)植物」に関する意見 2-4

11月 2nd, 2013

4.(外国産)在来種に関する問題

 ④の(外国産)在来種に係わる問題は重要である。
侵略的外来種に係わる問題としてB. 交雑(在来種と交雑し、遺伝的な攪乱を発生させる)に該当するからである。

治山・砂防・法面緑化に関しては、「要注意外来生物リスト」に主立った外来牧草がリストアップされたことから、その使用の自粛が求められ、結果、在来種として(外国産)在来種が、自然環境に優しい植物として多用されるに至っている。(外国産)在来種は、自然度の高い箇所ほど多用される傾向にある。

いずれも我が国に自生する種と同じ種であることから、全国広範囲にわたり、ヨモギ、メドハギ、ススキ、イタドリ、ヤマハギ、コマツナギなどの交雑が急激に進行している。既に、取り返しがつかないほどに進行しているものとも考えられる。

また、選別が十分に行われていないため、非意図的な外来種の侵入例も認められている。

従って、既に取り返しがつかない状況として放置するのか、これ以上交雑が進まないように制限を加えるのかについて、早急に判断すべき時が来ているものと考えられる。

しかし、これらの植物は評価対象にはなっていない。

外来牧草に関する評価以前に、これら(外国産)在来種に対する評価を行い、その使用の可否について結論を出すことが必要である。

(文責:中野裕司)

外来種 問題 : 「侵略的外来種リスト(仮称)植物」に関する意見 2-6

11月 2nd, 2013

6.地域区分に係わる問題

 以上、問題点について書き連ねたが、「生物多様性保全上重要な地域」に対する侵略的外来種の影響は回避することは必要であり、そのためには、人・物・金という資本を最適に投下できるように「生物多様性重要な地域」と「それ以外の地域」に区別することが重要である。

これについては、4省庁による「平成18年度生態系保全のための植生管理方策検討調査」において、次の4地域区分が提案されている。

              ① 奥山自然地域

              ② 里地里山等中間地域

              ③ 都市地域

              ④ 生物多様性保全上重要な地域

また、「地域区分ごとの取扱に係わる暫定的な考え方(素案)」が示されており、この素案などをベースに、具体的な地域区分を行い、メリハリのある取り組みを行う必要がある。

 すなわち、①、④の地域に対しては、外来種、(外国産)在来種は用いない、計画生産した地域性種苗を用いる、②については外来牧草などを、4省庁による「平成17年度緑化植物取扱方針検討調査」にて示された、「」調査対象種の当面の望ましい取扱方向(案)」に基づき適切に使用する、都市地域に関しては、景観・修景的な観点なども考慮し、多様な外来植物の使用を管理する、など、地域区分に応じた明確なルールを示す必要がある。

(文責:中野裕司)

外来種 問題 : 「侵略的外来種リスト(仮称)植物」に関する意見 2-5

11月 2nd, 2013

5.園芸植物、緑化樹木などに係わる問題

今回、様々な園芸植物、緑化木などが候補としてリストアップされているが、「侵略的」という用語の定義が明確に示されていない以上、根拠薄弱と言わざるを得ない。

「侵略的」と称される定義を明らかにし、その定義に沿った科学的な方法論に基づいた選定を進めることをお願いしたい。

(文責:中野裕司)

外来種 問題 : 「侵略的外来種リスト(仮称)植物」に関する意見 2-2

11月 2nd, 2013

2.中央環境審議会の示す、外来種ブラックリスト(仮称)作成の目安

中央環境審議会の意見具申では、「外来種ブラックリスト(仮称)」とし、選定の目安を次のように整理している。

(参考4)外来種ブラックリスト(仮称)
愛知目標を踏まえ、特定外来生物の指定種に加え、我が国の生態系等に係る被害を及ぼす、又は及ぼすおそれのあるものであるが、

・一定の科学的知見はあるものの、特定外来生物の指定について、科学的知見の集積に努めることが必要なもの

・既に全国にまん延しており、今後保全上重要な生態系に侵入した場合の被害が懸念されるもの

・法指定によって大量に飼育されている個体が大量に遺棄される等の弊害が想定されるもの

・代替性がなく既に大量に利用されているが利用に当たっては注意を要するもの

・在来種であるが我が国における自然分布域外での導入により、生態系に係る被害が懸念されるもの

等の外来種をリスト化し、最新の定着状況や地域的な影響の差違も含めた生態系等に係る被害、我が国における具体的な対策の方向性、利用上の留意点等についてわかりやすく示すことを想定。平成 25 年度を目途に作成予定。

外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について(意見具申)

 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=21183&hou_id=16099

以上からは、「外来種ブラックリスト(仮称)」選定の目安として植物に係わるものを挙げると次のように示すことが出来る。

① 特定外来生物の候補種 (科学的知見の集積に努めるもの)

② 保全上重要な生態系に侵入した場合に被害が懸念されるもの(全国にまん延しているもの)

③ 代替性が無く既に大量に利用されているもの(利用にあたっては注意を要するもの)

④ 在来種であるが外国から導入したもの(生態系に係わる被害が懸念されるもの)

緑化工については、③④が重要な論点となる。③は、外来牧草に係わる問題であり、④は、(外国産)在来種に係わる問題と考えられる。

 以下、③ 外来牧草、④ (外国産)在来種 について述べる。

(文責:中野裕司)

外来種 問題 : 「侵略的外来種リスト(仮称)植物」に関する意見 2-1

11月 2nd, 2013

1.侵略的外来種リスト作成の目的・用途が不明、侵略的に関する定義が不明確

環境省のHP(侵略的外来種リスト(仮称)の検討:http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/gairailist.html)には下記の文書がある。

平成22年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議で採択された愛知目標において、
① 「2020年までに侵略的外来種とその定着経路が特定され、優先順位付けられ、優先度の高い種が制御され又は根絶される。」
という個別目標が示されました。また、平成24年9月に閣議決定された「生物多様性国家戦略2012-2020」において、

② 外来生物法に基づく特定外来生物のみならず、我が国の生態系等に被害を及ぼす又は及ぼすおそれのある侵略的外来種について、リストを作成することを国別目標の一つとしました。

平成24年12月に中央環境審議会から環境大臣及び農林水産大臣に対して外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について意見具申がなされ、

③ その中においても、侵略的外来種リスト(仮称)の作成の必要性が指摘されています。

侵略的外来種リスト(仮称)は愛知目標の達成に資するとともに、国、地方自治体、事業者、NGO・NPO、国民等の様々な主体に対し、外来種についての関心と理解を高め、適切な行動を呼びかけることで、外来種対策の進展を図ることを目的としています。

以上から、侵略的外来種リスト作成の目的を整理すると次のように示すことが出来る。
①②③の理由により、侵略的外来種リスト(仮称)を作成する次の3つを目的としてあげている。

1. 愛知目標の達成に資する。        ~ 優先度の高い種が制御され又は根絶される。
2. 外来種についての関心と理解を高める。 ~ 啓発
3. 適切な行動を呼び掛ける。         ~ 動員
4. 外来種対策の進展を図る。         ~ 優先度の高い侵略的外来種の制御・根絶

すなわち、2020年までに、制御又は根絶する侵略的外来種を選抜するためのリストづくりということになる。

ならば、侵略的とは、とのような事を指すのか、具体的な定義が示されないことには、個別のリスト掲載種の検討は不能という事になる。

「侵略的」と称する言葉の定義を明確に示すことが必要である。

侵略的外来種が生態系におよぼす被害については、次の項目を挙げており、この項目に合する植物が侵略的な種と言う事となる。

A. 競合      ~ 在来種を駆逐、存在を脅かす
B. 交雑      ~ 在来種と交雑し、遺伝的な攪乱を発生させる
C. 捕食・接触   ~ 植物にはこのような関係性は無い

 また、特に問題となる被害として、次を挙げている。

a 人体への被害
b 経済・産業への被害

 以上は個別の植物種類を選定するに対し、原理的、抽象的な概念であり、科学的とは言えない。
従って、個々人の恣意的な考え方(好み)が反映されることとなることは否めない。

「侵略的」という概念に対する、明確な根拠の提示をお願いしたい。

(文責:中野裕司)

外来種 問題 : 「侵略的外来種リスト(仮称)植物」に関する意見 その2

11月 2nd, 2013

侵略的外来種リスト(案)植物に関する意見 その2

先に、H25.10/1に環境省が実施した「外来種被害防止行動計画・侵略的外来種リストに関するNGO・NPO及び関係事業団体と委員との意見交換会」の際に自然環境局野生生物課外来生物対策室長あてに提出した「意見書」を、当ブログにて紹介した。

その意見書に更に手を加えたため、Ver2として掲載する。

構成

1.侵略的外来種リスト作成の目的・用途が不明、侵略的に関する定義が不明確

2.中央環境審議会の示す、外来種ブラックリスト(仮称)作成の目安

3.外来牧草に係わる問題

(外国産)在来種に関する問題

5.園芸植物、緑化樹木などに係わる問題

6.地域区分に係わる問題

(文責:中野裕司)

 

 

 

「侵略的外来種リスト」・「外来種被害防止行動計画」意見書

10月 3rd, 2013

10/1(火)、「外来種被害防止計画・侵略的外来生物リストに関するNGO・NPO及び関係事業団体と委員との意見交換会」なるものが開催されました。

要注意外来生物リストに、緑化植物として用いられて来た外来牧草のほとんどが掲載されたため、その使用を自粛せよという指示が出され、現場が混乱しました。

結果、(外国産)在来種であるヨモギ、メドハギ、コマツナギ、ヤマハギなどが多用されるに至り、生物多様性保全の趣旨である遺伝子レベルの汚染(交雑)、意図しない外来種の侵入などを招くことになってしまいました。

外来という名称にこだわり、在来種という名称のものは問題ないと判断した結果です。

杓子定規、理念的にことを無理矢理運ぶと、ねじれたことが発生し、思惑と異なった方向へと進むことは歴史の語るところですが、要注意外来生物リストでは、外来牧草の使用が制約されたため(外国産)在来種の拡散へと向かった、と言う訳です。

今回のリストは、更に厳しいものになりそうな気配です。

このため、意見書を提出し、意見陳述を行いました。
ご覧ください。

以上

H250926侵略的外来種リスト(植物)意見交換会意見書

 

市場単価掲載緑化植物に関する問題点と                         修正意見書

12月 17th, 2012

生物多様性国家戦略、並びに外来生物法の制定にともない、生物多様性に配慮した法面緑化が求められている。
これにより、長年法面緑化植物として使い続けてきた外来牧草の使用が問題視されるに至った。

環境省より要注意外来生物リストが公表され、この中で外来牧草の多くが、要注意外来生物としてリストアップされたことにより、問題意識は一層高まった。しかし、外来牧草は多方面での長期間の利用実績があるため、「別途総合的な取り組みを進める外来生物(緑化植物)」として、平成18年に、環境省、国土交通省、農林水産省、林野庁の4省庁により「緑化植物取扱方針検討調査」が実施され、筆者も委員として参加した。

その結果、「調査対象種の当面の望ましい取扱方向(案)」が示された。

このような動きを受け、国土交通省では、平成21年6月に発行した「道路土工-切土工・斜面安定工指針」では、植生工の部分について、生物多様性保全に配慮した改定がなされた。

林野庁では平成17年~19年「特定外来生物による被害の防止などに配慮した緑化植物取扱方方針検討調査」、平成20年~平成21年「荒廃地緑化手法検討調査」を実施し、筆者も委員として参加し意見を述べた。これらの成果を総合し、平成23年1月に「林野公共事業における生物多様性保全に配慮した緑化工の手引き」、手引きの別冊として、「同手引きに沿って実行する工事の施工、保育・管理ガイドブック」が作成された。

設計・仕様に関しては、以上に示したように生物多様性保全に配慮した改訂などが積極的に進められ、従来の法面保護工を目的とした設計から、生物多様性保全に配慮した設計へと変化している。

しかし設計仕様が変化する中、その一方で、積算が従来の法面緑化仕様のままであり、設計と積算の間に齟齬が発生している。
すなわち、生物多様性保全に配慮する高度な緑化を、法面保護を目的とする従来の積算で発注するという問題である。

このため、無理難題とも言える要求がなされており、結果的に施工サイドにそのしわ寄せがなされるに至り、その場しのぎが常態化している。すなわち、積算上の制約により、形だけ生物多様性保全に配慮した体裁をとり、実質的には従来緑化工を行うという問題の発生である。

今回の日本緑化工学会より提出した「意見書」は、法面緑化工における市場単価に関する問題の中で、緑化植物に関するものであるが、このような指摘がなされたのは一歩前進と考えられる。

今後も引き続き、このような意見書などを提出し、設計仕様と積算の齟齬・乖離を埋める努力を行う必要がある。

日本緑化工学会「市場単価の植生工で設定している使用植物に関する問題点と修正に関する意見書」pdfファィル

以上                            文責:中野裕司(ひまなか)

関連ブログ:「ひまなかてき心象」もご覧ください。