市場単価掲載緑化植物に関する問題点と                         修正意見書

生物多様性国家戦略、並びに外来生物法の制定にともない、生物多様性に配慮した法面緑化が求められている。
これにより、長年法面緑化植物として使い続けてきた外来牧草の使用が問題視されるに至った。

環境省より要注意外来生物リストが公表され、この中で外来牧草の多くが、要注意外来生物としてリストアップされたことにより、問題意識は一層高まった。しかし、外来牧草は多方面での長期間の利用実績があるため、「別途総合的な取り組みを進める外来生物(緑化植物)」として、平成18年に、環境省、国土交通省、農林水産省、林野庁の4省庁により「緑化植物取扱方針検討調査」が実施され、筆者も委員として参加した。

その結果、「調査対象種の当面の望ましい取扱方向(案)」が示された。

このような動きを受け、国土交通省では、平成21年6月に発行した「道路土工-切土工・斜面安定工指針」では、植生工の部分について、生物多様性保全に配慮した改定がなされた。

林野庁では平成17年~19年「特定外来生物による被害の防止などに配慮した緑化植物取扱方方針検討調査」、平成20年~平成21年「荒廃地緑化手法検討調査」を実施し、筆者も委員として参加し意見を述べた。これらの成果を総合し、平成23年1月に「林野公共事業における生物多様性保全に配慮した緑化工の手引き」、手引きの別冊として、「同手引きに沿って実行する工事の施工、保育・管理ガイドブック」が作成された。

設計・仕様に関しては、以上に示したように生物多様性保全に配慮した改訂などが積極的に進められ、従来の法面保護工を目的とした設計から、生物多様性保全に配慮した設計へと変化している。

しかし設計仕様が変化する中、その一方で、積算が従来の法面緑化仕様のままであり、設計と積算の間に齟齬が発生している。
すなわち、生物多様性保全に配慮する高度な緑化を、法面保護を目的とする従来の積算で発注するという問題である。

このため、無理難題とも言える要求がなされており、結果的に施工サイドにそのしわ寄せがなされるに至り、その場しのぎが常態化している。すなわち、積算上の制約により、形だけ生物多様性保全に配慮した体裁をとり、実質的には従来緑化工を行うという問題の発生である。

今回の日本緑化工学会より提出した「意見書」は、法面緑化工における市場単価に関する問題の中で、緑化植物に関するものであるが、このような指摘がなされたのは一歩前進と考えられる。

今後も引き続き、このような意見書などを提出し、設計仕様と積算の齟齬・乖離を埋める努力を行う必要がある。

日本緑化工学会「市場単価の植生工で設定している使用植物に関する問題点と修正に関する意見書」pdfファィル

以上                            文責:中野裕司(ひまなか)

関連ブログ:「ひまなかてき心象」もご覧ください。

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  1. […] 関連ブログ 「緑化工あれこれ」 もご覧ください。 […]

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