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      < 日本緑化工協会 入会案内・申込書 >


◆ お知らせ・ニュース ◆

 
     
  •  第45回緑化工技術講習会について   令和7年5月15日
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  •    下記内容で、第45回緑化工技術講習会を開催いたします。  
       講習の詳細は、 「第45回緑化工技術講習会のご案内」をご覧ください。  
       講師、講習時間については、講師の都合などで変更する場合があります。  
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  •   日時 :令和7年7月28日(月)13:30 〜 7月29日(火)15:00   
      場所 :東京農業大学 世田谷キャンパス   
      
      特集1.自然災害と生物多様性保全・植生管理   
      特集2.法面緑化の基礎
      
      特集1.   
      ・講師依頼中    
           
      ・災害復旧事業について-   
        国土交通省 水管理・国土保全局防災課 災害査定官 一戸 佳充   
      ・能登半島地震の複合災害について   
        応用地質(株) 社友 上野 将司   
      特集2   
      ・法面緑化の基礎−1   
        東京農業大学地球環境科学部森林総合科学科森林環境工学分野 教授 橘 驤   
      ・法面緑化の基礎−2   
        (特非)日本緑化工協会 理事長・技術委員長 中野裕司   
      ・技術情報交流会・法面緑化に関する総合討論   
       テーマ 「一般地の生物多様性保全について」   
        パネラー:橘驤・山田晋(東京農業大学)、簗瀬知史(NEXCO関東支社)、   
             中野裕司(緑化工協会)他   
        司会:田中淳(緑化工協会・国土防災技術)   
      
      「第45回緑化工技術講習会の申込み」   
      「質問状ダウンロード」〜講師への質問などをお寄せください。   
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    日本緑化工学会【会告】
    「生物多様性保全に配慮した緑化植物の取り扱い
            ガイドライン2023」に対する意見・要望

    自然公園以外のいわゆる「一般地」法面に対してまで、「地域性種苗」を用いることが適当と暗示する内容のガイドライン(指針)が、 緑化工学会の【会告】として示されたため、これに対する意見・要望を緑化工学会会長宛に提出しました(令和5年9月19日)。

    <論旨>

    当協会は、「林野公共事業における生物多様性保全に配慮した緑化工の手引き(2011)」、 及び「自然公園法面緑化指針、同解説(2015)」に基づき「自然公園域と生物多様性保全上重要な地域」 と、それ以外を「一般地」として取り扱うことを提案し、その地域特性に即した緑化植物の取り扱いを行うことを提案してきました。「緑化工の手引き」では、「緑化水準の目安」 を理念的・観念的に「自然公園域」、「一般地」、そしてその「中間に位置する部分」の3水準に分けていますが、「中間地」の線引きがあいまいで取扱が困難でした。 このため「自然公園指針」が作成されたことを受けて、「自然公園、生物多様性保全上重要な地域」と「一般地」に大きく2区分とすることを提案をしました。 「中間地」は「自然公園、生物多様性保全上重要な地域」の実情に合わせ個別的に設定することが実際的と判断したからです。
    施工面積が広大となる「一般地」法面に対してまで市場性がなく入手困難な地域性種苗を用いることは物理的に不可能であるため、外来牧草を用いて浸食防止を行った後、 植生遷移を進めることにより自然回復を図り生物多様性保全を図ることが適当としました。
    生物多様性保全に配慮した法面緑化が求められてから20年以上が経過しますが、外来牧草類を用いた法面は周辺自然植生に置き換わり生物多様性保全に配慮した緑化状態となっており 、その施工実績を踏まえると実際的であり、かつ自然な取組と判断したためであり、いわば現状に即したソフトランディングの方向を示したものです。
    生物多様性保全に配慮した法面緑化の定義が不明瞭であり、達成期間に対する合意形成はなされていないため提案したものであり、このような判断は適当と考えられます。
    理想的な生物多様性保全に配慮した法面緑化は、法的根拠の明らかな「自然公園」内で普及・拡大し、地域性種苗の市場が確保された後、「一般地」法面へとその使用 を拡大し、理想的な生物多様性保全に配慮した緑化へと進めて行くことが適当と考えるからです。

    日本緑化工学会の示す【会告】「ガイドライン2023」は、「緑化工の手引き」に示された「中間地」を含む3区分となっており、20年以前に提案された「緑化水準」の考え方からの進展が認められず、 線引きが困難で実際の運用が困難なものとなっております。
    また、最も大きな面積を占める「一般地」、「中間地」法面に対しても「地域性が確保できる緑化材料の使用が望ましいが、必要に応じて国内産緑化植物(産地 に配慮)或いは外来牧草類まで許容される地域」としており、入手不可能に近い、入手できたとしても高価な「産地に配慮した国内産緑化植物=地域性種苗」を用いることを前提としており、 いわばハードランディングを目指したものと推測できます。生物多様保全に配慮した法面緑化が求められて20年以上が経過しておりますが「一般地」において外来牧草類は標準的に用いられている 緑化植物であり、その緑化法面は自然回復が進み生物多様性保全上も満足するものとなっております。このような実態の外来牧草類の活用を「許容」という消極的な位置づけでの取扱と示すことは 実勢にそぐわないものとなっております。「ガイドライン(指針)」において使用を制限する場合は、明確な根拠とともに、実際の現場で運用可能となる安価な代替植物を示すことが肝要と考えます。
    その内容を吟味するならば「ガイドライン=指針」ではなく、生物多様性保全に配慮した法面緑化植物の取扱に関する「(理想的な)考え方・提案」と言うべきものとなっており、 「ガイドライン(指針)」にふさわしい、現場・緑化工実務者が設計・積算、施工の場において活用可能な実際的な内容とするよう要望するものです。自然公園域に対する生物多様性保全 に配慮した法面緑化については、既に「自然公園法面緑化指針」によってその方向性が明示されており、日本緑化工学会でとり組むべきは、そこからもれた「一般地」法面に対する具体的な指針の作成と 考えますが、肝腎要の「一般地」に対する具体的な記載がなされていないことは残念なことです。
    【会告】「ガイドライン=指針」としつつも「緑化水準」など指針として示すべき内容があいまいであり、かつ、内容の8割以上が「生物多様性保全に配慮したこれから の緑化工の提案」となっていることからも、体裁、内容の見直しを行い「一般地」において活用できるよう早急な改訂を行うことを要望するものです。


    ※ 当協会の意見・要望

          < 「ガイドライン2023」に対する意見・要望について >

          < 日本緑化工学会ガイドライン(案)に対する意見 >

    ・(一財)経済調査会「経済調査研究レビュー 2019.9(Vol.25)」
      斜面・法面緑化に対する生物多様性保全と外来牧草の適正な活用
      外部リンク:経済調査研究レビュー 2019.9(Vol.25)p.p.27-38


    ※ 日本緑化工学会 生物多様性保全に配慮した緑化植物の取り扱い
                     「提言2019」、「ガイドライン2023」

          < 提言2019 >   < ガイドライン2023 >


    ※ 参考 「林野公共事業における生物多様性保全に配慮した緑化工の手引き(2011)」
         「自然公園法面緑化指針、同解説(2015)」

          < 林野公共事業における生物多様性保全に配慮した緑化工の手引き >

          < 自然公園法面緑化指針 解説編 >

     
     

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